死亡者想定32万人の中には原発事故は起きない想定
政府の地震調査委員会は2013年5月に、今後30年以内に南海トラフでM8以上の地震が起こる確率を60~70%としています。また内閣府中央防災会議の地震対策検討ワーキンググループ(以下WG)は、南海トラフ巨大地震でも被害想定を最大で死者32万3千人、倒壊家屋238万6千棟という途方もない数字をたたき出しています。
この死者数は東日本大震災の20倍近い数字で、2004年スマトラ島沖地震の死者・行方不明者の28万人を大きく上回り、史上最悪の大惨事になります。
首都圏の被害は?
首都圏の被害はと言うと、南海トラフ地震の震源が遠いからといって、首都圏も「対岸の火事」では済まされません。東京都は最悪な場合で、津波による死者数が1,500人ほどになると想定されているのです。
都内では津波の高さが最高3mに達するという想定ですが、これは軽く見てはいけません。高さ1mの津波でも死亡率は100%になるのです。
また東日本大震災の際には千葉県浦安市などで液状化現象による被害が問題になりました。
南海トラフ大地震が起これば、首都圏でも東日本大震災以上の液状化現象が起こる可能性がありこちらも心配です。
原発の被害想定が見落とされている
内閣府WGの被害想定には「原発事故による被害想定」が漏れています。最大で死者32万人以上という想定は浜岡原発などで重大な事故が発生しなかった前提での試算なのです。
では、浜岡原発で事故が起きたら、一体どうなるのでしょう。作家の広瀬隆氏によると、想定されている震度7の揺れで、冷却用海水を引き込む地下の取水トンネルが崩壊する可能性があり、主水槽の水は20分しかもたないという致命的な構造上の欠陥のため、メルトダウンを引き起こす危険性があるといいます。
内閣府WGの被害想定は最悪の事態を前提にしていますが、浜岡原発が福島第一原発以上の大惨事を引き起こしたら、被害規模はそれ以上になるかもしれないのです。国会事故調協力調査員で原子力資料研究室(CNIC)の上澤千尋氏の推定では、大地震によって浜岡原発全体で事故が起きた場合、原発から風下方向の70Kmまでの範囲(静岡県の大部分)の全員が全身被曝によって死亡し、110Km(静岡県全体と愛知・山梨の半分位)では半分が死亡するといいます。
350Kmの範囲では、早期に現れる健康被害の可能性(急性障害)があり、東は東京都西部や神奈川県の大半が含まれます。
これが現実になれば、本当に「日本の終わり」となってしまうかもしれません。
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