家の健康診断=「耐震診断」
阪神・淡路大震災では、木造住宅の多くが倒壊しました。
私たちはチェックするべきは「大地震が来たとき、果たしてわが家は大丈夫なのか」ということでしょう。家の倒壊によって命が危険にさらされないようにするために、最善の対策を講じなければならないのです。
そこで必要なのが耐震診断士というプロの行う建物の「耐震診断」です。家の健康診断のようなものです。その耐震診断を受けるかとうか、1つのキーワードとなるのが「1981年」です。なぜなら、耐震基準が厳しくなる1981年6月以前に建てられた家は、当時の建築許可を受けていても震度6強相当の地震で倒壊する危険があるからです。
地震に強い家か弱い家かを見分ける「5つのポイント」
プロの目は次の5つのポイントで地震に強い家か弱い家かを見極めているそうなんです。一級建築士であり、耐震診断士である青木一男さんが1980年に建築された木造2階建て住宅の耐震診断を行う現場を取材しました。
参照元:『緊急!池上彰と考える巨大地震』池上彰+「緊急!池上彰と考える巨大地震」スタッフ著
ポイント1 外壁
青木さんがまず注目したのは、家の外壁です。ヒビを見つけたら、要注意なんですね。
「壁にクラック(ヒビ)がある場合は、どうしても雨水が浸み込み気を腐らせるんです。また水分が多くなると、シロアリに食われやすくなります。ですから、クラックの補修はとても重要なのです。(青木さん)
「少しくらいヒビが入っていたって・・・」なんて油断は禁物。早急に補修をする必要があります。
ポイント2 風呂場
一見何もなさそうな風呂場でも、床がタイル張りになっている場合は要注意です。その理由は「壁と床の隙間に少しずつ水が浸みていって、土台にダメージを与えるケースが多い」からです。ユニットバスに変えるなどリフォームの際に土台のチェックをし、また併せて耐震補強もできるのが実はお風呂場なんです。
ポイント3 間取り
最近はリノベーションやリフォームをする人が増えています。そのときに、たとえば2つの部屋を1つの広い部屋にするなどした場合、建物の強度が下がってしまいます。最初からそのような設計・建築されていれば大丈夫ですが、後で壁を取り払ったとしたら、建物もの強度が弱くなっている可能性が高いのです。
また、明り取りの窓を後から設置した場合も要注意です。青木さんによると、「壁に穴を空けることになるので、壁の強度が弱くなる可能性がある」そうです。
ポイント4 基礎
建物が地震に強くても、基礎が弱いと揺れに耐えられずに倒壊する危険があります。
青木さんは基礎をチェックする際、そこに鉄筋が入っているかどうかを調べる機械を取り出しました。鉄筋が入っていると、アラームが鳴る仕掛けです。ちょっと信じられないかもしれませんが、1981年以前に建てられた住宅の多くは基礎に鉄筋が入っていないのです。青木さんが耐震診断した住宅も、まったくアラームが鳴りませんでした。
「建物を上部にすると、地震のときに基礎に大きな力が加わります。その力に耐えるためには、鉄筋が入って建物と一体となった基礎でないといけないんです。」(青木さん)
ポイント5 屋根
重い屋根というのも、古い家によく見られるウイークポイントです。重心が家の上にくるため、地震のときの揺れが大きくなってしまうのです。
まとめ
どうでしょう、あなたの家は大丈夫そうですか?もっとも、素人判断はやけどのもとですから、2000年以前の建物、とくに1981年以前に建てられた家に関しては耐震診断をすることをおすすめします。
日本耐震診断協会によると、診断費用は10~25万円が相場とのことです。自治体によっては補助金を出すところもあるので、相談してみてください。
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