【気象庁発表】全国12火山に噴火警報や火口周辺警報

気象庁は11日、全国の活火山の9月以降の活動状況や警戒すべき点について発表しました。噴火が発生したり、火山活動が高まったりしているとして、全国の12の火山に「噴火警報」や「火口周辺警報」が発表されています。

火口周辺警報は11火山

今後の噴火によって火口周辺や居住地域の近くに影響がおよぶおそれがある「火口周辺警報」が発表されているのは、福島と山形の県境にある吾妻山、群馬県の草津白根山、長野と群馬の県境にある浅間山、長野と岐阜の県境にある御嶽山、熊本県の阿蘇山、宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島連山の新燃岳、鹿児島県の桜島と口永良部島、諏訪之瀬島、小笠原諸島の西之島と硫黄島の合わせて11の火山です。

噴火警戒レベル3は口永良部島と桜島、阿蘇山

このうち、入山規制などが必要とされる「噴火警戒レベル3」は、鹿児島県の口永良部島、桜島、熊本県の阿蘇山に発表されています。

口永良部島

ことし6月に噴火警報が火口周辺警報に切り替えられ、噴火警戒レベルが5から3に引き下げられた口永良部島では、去年5月の噴火前に一時、温度が上昇した新岳火口西側の割れ目付近は温度が低い状態が続き、火映は確認されていません。一方、9月27日には、振幅が小さく継続時間が30秒と短い火山性微動が観測されました。口永良部島で火山性微動が観測されたのは、去年6月18日以来です。
また、火山ガスの二酸化硫黄の放出量は、おととし8月の噴火前よりはやや多い状態が続いています。気象庁は、去年5月と同じ程度の噴火が発生する可能性は低くなっているとしたうえで、火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石や火砕流に、向江浜地区などでは火砕流に警戒するよう呼びかけています。

桜島

桜島では、昭和火口では7月26日に爆発的噴火が発生したあとは噴火は観測されず、南岳山頂火口でも8月はごく小規模な噴火が時々発生しましたが、9月以降は観測されていません。
一方、衛星を使った観測では鹿児島湾奥部の「姶良カルデラ」の地下にあるマグマだまりが膨張していると考えられる変化が続いていて、去年1月ごろからは、膨張の速度がやや増大していて、火山活動が再び活発化する可能性があるということです。
昭和火口と南岳山頂火口からおおむね2キロの範囲では、大きな噴石や火砕流に警戒が必要です。

阿蘇山

熊本県の阿蘇山では10月8日、中岳第一火口で爆発的噴火が発生し、噴火警戒レベルがレベル2の「火口周辺規制」からレベル3の「入山規制」に引き上げられました。
阿蘇山で爆発的な噴火が観測されたのは、36年前の昭和55年1月以来で、衛星による観測で噴煙の高さが1万1000メートルに達したほか、噴石が火口から1.2キロの範囲に飛び、火山灰は九州と四国の各地でも降ったことが確認されました。

気象庁は、今後も同じ程度の規模の噴火が起きるおそれがあるとして、中岳第一火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石や火砕流に警戒し、風下にあたる地域では火山灰や小さな噴石などにも注意するよう呼びかけています。

噴火警戒レベル2は6火山

火口周辺への立ち入りなどが規制される「噴火警戒レベル2」が発表されているのは、吾妻山、草津白根山、浅間山、御嶽山、霧島連山の新燃岳、諏訪之瀬島の6つの火山です。

浅間山

去年6月にごく小規模な噴火が発生した浅間山では、9月は山頂火口直下のごく浅いところを震源とする火山性地震が合わせて1482回発生しました。また、夜間に高温の火山ガスなどが雲などに映って赤く見える弱い「火映現象」が、6月以降断続的に観測されていて、9月は8日と9日に観測されました。
浅間山では、今後も火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生するおそれがあり、引き続き、山頂火口からおおむね2キロの範囲では、噴火に伴う大きな噴石に警戒が必要です。

霧島連山の新燃岳

霧島連山の新燃岳では、9月17日に振幅が小さく継続時間の短い火山性微動が観測されました。新燃岳で火山性微動が観測されたのは、去年3月1日以来です。また、火山性地震も時々発生しています。
新燃岳では、火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性があり、引き続き、火口からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒が必要です。

吾妻山

吾妻山では、9月は大穴火口直下やその付近を震源とする火山性地震が6回発生しました。大穴火口からの噴気の高さは最高で70メートルで噴気活動はやや活発な状態が続いています。引き続き、小規模な噴火が発生する可能性があり、大穴火口からおおむね500メートルの範囲では、大きな噴石に警戒が必要です。

御嶽山

御嶽山では、おととし10月中旬以降噴火は観測されず、9月は火山性地震は少ない状態でしたが、27日に継続時間が3分30秒ほどの振幅の小さな火山性微動が観測され、山のふもと付近がわずかに上がる傾斜変動が見られました。御嶽山で火山性微動が観測されたのは5月19日以来です。
地震の回数はおととし9月の噴火前に戻っておらず、噴煙活動も続いていて、今後も小規模な噴火が発生する可能性があり、引き続き、火口からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う噴石に警戒が必要です。

草津白根山

草津白根山では、気象庁が先月行った現地調査で、ことし5月と比べて湯釜火口周辺の斜面での熱活動が活発になっています。今後も小規模な噴火が発生する可能性があり、引き続き、火口からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う噴石に警戒が必要です。

諏訪之瀬島

諏訪之瀬島では9月は噴火が3回発生し、このうち15日には爆発的噴火が発生して噴石が火口周辺に飛んだことが確認されました。また、10月6日にもごく小規模な噴火が発生し、火口から南側の地域では降灰が確認されました。
今後も火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあり、引き続き、火口からおおむね1キロの範囲では大きな噴石に警戒が必要です。

海底火山に「噴火警報」

小笠原諸島の近海にある海底火山の福徳岡ノ場では、周辺の海域で警戒が必要な「噴火警報」が発表されています。

警報なし・レベル1の注意

全国の活火山の中には警報が発表されておらず、噴火警戒レベルがレベル1の火山がありますが、過去に噴火を繰り返してきた活火山であることに変わりはなく、気象庁や自治体が発表する情報に注意が必要です。

蔵王山

蔵王山では、8月に続いて9月も22日と23日、25日に火山性微動が観測されました。このうち、25日の火山性微動では振幅がこれまでで最も大きくなったということです。23日に気象庁が行った現地調査では、「御釜(おかま)」周辺で噴気や地面の温度の上昇などは見られなかったということです。

蔵王山では、活火山であることに留意して今後の火山活動の推移に注意が必要です。

新潟焼山

新潟焼山では、今年5月と7月にごく小規模な噴火によると見られる火山灰が確認されましたが、9月は噴火は確認されませんでした。一方、山頂の膨張を示す地殻変動は引き続き、観測されています。
気象庁は、地元自治体の指示にしたがって危険な地域には立ち入らないよう呼びかけています。

火山情報の確認を

各地の火山活動の状況や注意点などは、気象庁や各地の気象台、自治体のホームページなどで確認することができます。

参照元:http://www3.nhk.or.jp/news/

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