防災心理学

防災に関する心理学で考える

事故も含めてですが、人間は突発的な状況に陥るとある程度取る行動は決まってしまいます。
主に心理学での範疇になりますが、結果として避難が遅れて被害が広がる事もあります。

では具体的に人は災害時にどんな心理状態になるのでしょうか。

大きく分けると三つのパターンに該当する

英国の心理学者「ジョン・リーチ」氏の研究によると、災害の際には大きく分けて三つの行動パターンを取る様です。
参考記事:http://www.bo-sai.co.jp/bias.htm

  1. 落ち着いて対処できる
  2. パニックに陥る
  3. 茫然自失してしまう

この内最も冷静に対処できる人と言うのは全体の約15%程、次いでパニックに陥る人が15%以下。
最後の茫然としてしまう人が最も多く全体のおよそ70%を占める様です。

このデータから紐解けることは、災害遭遇時、人間は何も出来ないと考えておいた方が良いと言う事でしょう。

専門用語では「凍りつき症候群」と言われているようで、瞬時の状況判断が求められる状況下において実はそれが一番難しいと言う事になります。

避難を遅らせるバイアスと言う心理状態

先の参考記事の中でも2003年に起きた韓国での電車火災の事に触れてましたが、最近の事件事故の傾向としては当事者が第三者目線で写真撮影などをしているケースが多いです。

スマホとネットの普及が背景にありますが、確かにこうした画像や動画は後の調査にも非常に役立ちます。
が、結果的に逃げ遅れて被害に会う人が多いんですね。
この心理状態を「多数派同調バイアス」とか「正常性バイアス」と言う風に言います。

心理学ではバイアスと言うのは「偏見」とか「思い込み」と言ったニュアンスになりますが、突発的な状況の変化に対して脳が判断するよりも周りの大多数の人と同じ行動を取ってしまうと言う事です。

もう一つ例をあげましょう。
映画館の中で火事が起きました。非常ベルも鳴り、皆一目散に非常口を目指しますが、不思議な物で複数ある非常口の中でも先頭の人間が向かった非常口に後続の人達も着いて行ってしまうと言うのです。

冷静に考えたら自分の一番近い位置にある誰も向かって居ない非常口から外に出る事が望ましいのですが、緊急の場合は恐怖やパニックでこの判断が下せなくなるんですね。

先のバイアスに関してもこれと同じで、俗に言う「皆逃げないし自分もまだいいや」と言う判断が避難を送らせてしまいます。
これを「多数派同調バイアス」と言います。

もう一つの「正常性バイアス」は、自分の中の判断で「まだまだ正常、避難するような異常事態じゃない」と言う認識を持ってしまう事を指します。
これも第三者目線で考えたら、煙が充満するような状況になったらすぐに避難と思うのですが、いざ当事者になると思いのほか脳に「異常事態」の信号が発せられないと言う事です。

「正常性バイアス」にみられる特徴としては、災害の進捗速度が緩やかな状態の時に顕著に見られます。
つまり、最初の段階で轟音を伴うような爆発などが起きれば人は一気に異常事態と判断しますが、徐々に煙が増えてくると言う様な変化がゆるい場合はなかなか危機感を感じないと言う事になります。

防災の心得を常日頃から

こうして記述しているとそんな馬鹿なと思う人も多いと思いますが、実際の心理学で講じられている内容です。
過去のデータも合わせて考えた場合、自分は大丈夫と思っていても大多数の人が速やかに避難できないと言う事になります。

生きて行く上で災害に遭遇しない事が望ましいですが、普段から万が一の状態を想定して、頭の中でもシュミレーションして置くことも大事になります。

いざと言う時、正常な判断をスピーディーに下す事は非常に難易度が高いと言う認識を持つようにしましょう。

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