日本における有名な過去の火災事例
火災に関する防災の手引きの中には過去の事例が出てきます。
今回より過去にあった大きな事件・事故を防災の観点から見て行こうと思います。
生命や財産を一瞬で灰にしてしまう火災の怖さもさることながら、どう言った要因が被害拡大に繫がってしまったかを勉強する事は有事の際に役立ちます。
大阪市内千日デパートビル火災
火事が発生したのは昭和47年5月の事です。
火災発生時刻は夜間となっていますが、7階にあったキャバレーの従業員や客が被害を蒙りました。
最終的に118人が死亡、負傷者42人とと言う大規模な事故になって千日前デパートビル火災ですが、その後色々な部分で問題視される所も出てきます。
まず出火したのは3階部分からで、時刻は厳密に言うと午後10時半です。
この時間帯に営業をしていたのは実質7階のキャバレーのみでしたが、当時3階のスーパーでは改装工事のための配線取り換えが行われていました。
出火元はここの配線と見られていますが、具体的な出火原因は今だに不明となっています。
恐らくスーパー内の寝具売り場付近から火元が出たとみられていますが、瞬く間に他の階層へと燃え広がりました。
このデパートではそもそも防災に関する意識の低さが露呈しますが、消火や防火に関する細かい規定も重要視されていなかったようです。
初期消火活動の失敗で被害が拡大
分かっている事として、千日前デパートビル火災では初期消火の失敗が伺えます。
最初に火が出てから火事が確認されたのは数分後の事です。
これは割と早い段階で発見されたとも言えますが、付近に消火器が無かった事や階段を使って1階の保安室に向かっている間に火の手が大きくなってしまいました。
ここが火災の怖い所ではありますが、その後消火器を持った従業員が現場に駆け付けた際には既に手が付けられない規模になっていたようです。
火事で怖いのは火だけではありません。現場では思った以上の煙が充満します。
我々がバーベキュー等で体感する煙とは明らかに一線を画す物です。
匂い、温度、これらの影響で迅速に行動を取る事も制限されるでしょう。
この時も、火元である3階の消火栓付近は煙がひどく既に近づけない状態になっていたようです。
建物内での火災発生連絡の不備
千日前デパートビル火災でもう一つ言われているのが、小見出しにもあるような火災発生連絡の不備です。
一般的に火事が起きた際は初期消火活動と全館への連絡は同時に行う様な物です。
この時は元々建物の火災時連絡のフローが確立されていなく、結果的に7階のキャバレーには火災発生の連絡は行かないままでした。
これが多くの犠牲者が逃げ遅れて被害に会ってしまた事の大きな要因になります。
その他にも7階で火災が確認された後も従業員による避難誘導も行われていなかった事が判明しました。
これは、火の勢いが強く黒煙が立ち込め、皆がパニックになった事もありますが普段から避難経路を把した従業員が乏しかった事も要因です。
当時このキャバレーからは避難のための会談も合計4箇所ありましたが、内三か所が施錠されていて2箇所は開錠したものの階下の防火壁が降りていない事態も被害に拍車をかけています。
事前に避難のための知識を有しておく
家庭規模の火災であれば特にナーバスになる必要は無いかもしれませんが、こうした人が多く集まる様な場所では通常時に避難に関する知識を持っておくことが大事です。
避難訓練も定期的に行っておくだけで大分違います。
有事の際はパニックになる人が続出し、我先にとフロアの中を移動する事を加味すると、やはり率先して皆を誘導する人を決めておく事も大事です。
高層ビル等ではあらかじめ避難のための救助袋が設置されている所も多いです。
これもいざ火災が起きた際に使用するとなると意外に手際よく出来ない物です。
正式な使い方を勉強しておく事も推奨します。
この様に千日前デパートビル火災は日本の火災事例の中でも有事の際の問題点などを浮き彫りにした事故でもあります。
得られる教訓は沢山あるはずですので、自分がこの場に居たらと考え避難時の想定をしておく事もお勧めします。