地下水に含まれるヘリウムの含有量、地殻の歪み量に関係

東京大学、京都大学、熊本大学、東北大学の共同研究グループは、2016年熊本地震震源の近くで地震後すぐに深さ1000mの地下水を採取し、地下水に含まれる気体成分を分析しました。
その中で、ヘリウムの含有量が地震の前後で変化していることが判明しました。

 

帯水層という、地下水を多く含んだ地層の岩石が地震により破壊されることで、岩石中のヘリウム*1が地下水に逃げ出して含有量が多くなったと考えられています。
そして地震による地殻の歪みが大きければ大きいほど、ヘリウムの量が多いことを明らかになっています。
(*1:放射性起源ヘリウム)

 

地震予知への貢献に期待

地震による地殻の歪みが大きいほど地下水に含まれるヘリウムが多いこの相関関係は、地震のメカニズムの解明に役立つだけでなく、将来起こりうる大地震を予測する上で地下水のヘリウムが地殻の歪みの良い指標となることを示しています。

 

地震学や測地学、地球電磁気学などの地殻の物理的で直接的な変化による地震予知研究に比較して、地下に含まれる成分などを化学的に観測して間接的な変化を研究する研究者は極めて少ないそうです。
深層地下水や深海堆積物に含まれるヘリウムの異常と地殻の歪みの関係性を数値化して表すことができれば、化学的な観測も地震予知の中でポピュラーな研究の1つとなるかもしれません。

 

地震発生危険度の高い陸上や海底断層の近くで観測体制を強化して、定期的にヘリウムの含有量を観測し、地殻変動や歪みなどの直接的な観測結果と併せて総合的に解釈することで、いまより精度の高い地殻変動の分析と未来の地震予知につながることが期待されています。

参照記事:http://www.aori.u-tokyo.ac.jp

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